『五節句』という言葉は、聞きなれない方もいるのではないでしょうか。
五節句とは、読んで字のごとく5つの『節句』のことを言います。
節句と聞くと思い出すものがあるかと思います。
そうです、女の子の日で「ひな祭り」を指す『桃の節句』と、男の子の日で「こどもの日」を指す『端午の節句』、この2つはすんなり出てくる方も多いのでは?
さて、残る3つの節句とは何でしょうか?
そこで、五節句とは何なのか?
どんな日があって、いつなのか?
その五節句についてお話をいたします。
五節句の一つは節分?祝日?
五節句のうちの2つは分かりました。
そしてもう一つ、身近な五節句があります。
それは七夕です。
七夕は『笹の節句』という節句です。
さて、あと2つ。
「節分」が五節句の一つと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、節分は違います。
あと五節句の日は祝日ではないかと、なんとなく思ってる方もいらっしゃるようですが、それも違います。
五節句とは何?その意味は?
今でも受け継がれている、「ひなまつり」や「端午の節句」ですが、時期が来るとお人形を飾ったりするけど、その意味や由来までは知らない、という方も多いのではないでしょうか?
そもそも五節句の「節」とは「節日(せつにち)」と言って、季節が変わる節目のことを表す文字です。
1年の季節の移り変わりを24の時期に分けて表した『二十四節気』がありますが、二十四節気のことはこちらで知ることができまので、ご参考にしてみてください。
⇒『二十四節気の順番は?最初は立春で最後は大寒は知ってるけど 』
そして、その二十四節気とは別に、季節の分かれ目を表現するのに設けられたのが五節句なのです。
二十四節気も五節句も、もともとは中国が百済の時代に日本に伝わってきたと言われています。
五節句はいつ?その種類は?
五節句はその名のとおり季節の節目を表す節日が、1年のうちで5つ設けられたから五節句と呼ばれています。
それから、節句を「節供」とも表しますが、どちらも同じ意味です。
それでは5つの節句をお伝えしてまいりますね。
人日の節句
「じんじつ」と読みます。
人日の節句は1月7日で、『七草の節句』とも呼ばれています。
1月7日が「七草粥を食べる日」と覚えている人も、いらっしゃるのではないでしょうか?
上巳の節句
「じょうし」と読みます。
『上巳の節句』は3月3日です。
ここで「?」と思う方もいらっしゃるのでは?
先ほど私もお話しましたが「桃の節句」と言いましたよね。
今では桃の節句が浸透しているかと思われますが、正確には上巳の節句といいます。
端午の節句
「たんご」と読みます。
『端午の節句』は5月5日です。
こちらは読み方も知ってる方が多いのではないでしょうか?
男の子の節句で、こどもの日として五節句で唯一の祝日です。
「菖蒲(しょうぶ)の節句」や「兜(かぶと)の節句」とも呼ばれていますね。
七夕の節句
「しちせき」と読みます。
また、「たなばた」の節句でも、けっして間違いではありません。
それから、上巳の節句が今では桃の節句という名前で親しまれているのと同じで、七夕の節句も「笹の節句」という名前で親しまれています。
『七夕(しちせき)の節句』は7月7日です。
重陽の節句
「ちょうよう」と読みます。
『重陽の節句』は9月9日です。
この重陽の節句は馴染みのない方が多いかと思われます。
中国では偶数よりも奇数が、運が強くて良い数字とされています。
その奇数の中でも一桁の数字で一番大きな「九」は、最も運が強くて良い数字とされ、その「九」が二つ重なった9月9日は最も重要な日として位置づけられていました。
「菊の節句」とも呼ばれています。
重陽の節句の詳しいことはこちらで知ることができます。ご参考にしていただけたら嬉しいです。
⇒『重陽の節句とはなぜ菊酒でお祝いするの?食事は?』
人日の節句だけが1月7日なのは何故?
五節句のうち4つは、月の数字と日の数字が同じになっていますよね。
だけど人日の節句だけが1月7日ということで、月の数字と日の数字が違っています。
このことに「なぜ?」と思われた方も少なくないのでは?
いくつかある説の一つをご紹介しますね。
中国の古い時代のことになりますが、1月1日を「鶏」の日として、2日を狗(犬)、3日を猪(豚)、4日を羊、5日を牛、6日を馬と定めて、それぞれの日には定めた動物を殺して食べてはならない、と決められていました。
そこで同じように7日の日を「人」の日(人日)と定めて、同じように人を殺したり、刑罰を与えない日と決めたということです。
それが日本に伝わったときに、1月7日は七草を食べて無病息災を祈願する日にしようとなったということです。
五節句の日に食べる食べ物
七草の節句
1月7日の人日の節句の日に「春の七草」を入れた「七草粥」を食べて無病息災を願います。
桃の節句
3月3日上巳の節句では、「白酒」や「桃花酒」が飲まれていましたが、現代ではその風習はなくなってきているかと思われます。
ひな祭りの日は「女の子の日」ということで、良いご縁に恵まれることを願って、縁起の良い食べ物を召し上がるのが良いですね。
お魚の「タイ」や縁を呼び込む長いものとして「麺類」。
また、「ハマグリ」のお吸い物を食べるご家庭もあるかと思います。
菖蒲の節句
5月5日の端午の節句には「柏餅」や「ちまき」を食べます。
また、厄除けとして菖蒲(しょうぶ)の葉を入れたお風呂に入る習慣もあります。
笹の節句
7月7日の七夕の節句では「そうめん」を食べるという慣(なら)わしがあります。
菊の節句
9月9日の重陽の節句では「菊酒」を飲みます。
少しリアルなお話をすると、手元に菊の花がなければお花屋さんなどで菊の花が入った「仏花」を買ってきて、仏壇にお供えします。
仏壇がなければ家の西の方位に花瓶などでいけましょう。
その菊の花の花びらを1枚いただいて、お酒の表面に浮かべて飲むのが菊酒です。
五節句は祝日?端午の節句と節分も五節句かな?のおわりに
いかがでしたでしょうか?
今まで聞きなれなかった五節句もあったかと思いますが、少しはお分かりになっていただけたのではないでしょうか?
少しでもお力になれたのならありがたいのですが・・・。
日本の古いしきたりや行事などには、中国から伝わってきたものが多いのはご存知かと思いますが、それぞれには意味があって、厄や悪い気を払ったり、運気を良くするために設けられたものがほとんどです。
多くのお金や労力がかかるような行事や慣習はべつとして、そうでなければ「やらないよりかは、やったほうが未来のためには良い」くらいの感覚でやってみてはいかがでしょうか?と思います。
こちら「のむねるたべる」を訪れてくださいまして、感謝を申し上げます。
誠にありがとうございます。
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