土用の丑の日と言えば「うなぎ」が定番ですよね。
ところが札幌ではウナギではなくてサンマを食べる、というウワサを聞きました。
でもどうやら、札幌だけではなくて北海道全般的にサンマのようです。
そこで、なぜ札幌では土用の丑の日にサンマを食べるのか?
また、土用の丑の日に食べるのはウナギ以外のものではいけないのか?
ということを調べてみました。
土用の丑の日に北海道ではウナギではなくてサンマ
花咲ガニでも有名な北海道の根室市にある花咲港。
ほかにも様々な魚介類が水揚げされる根室は、ご存知の方も多いとは思いますがサンマも有名です。
その日本でも有数のサンマの捕獲量を誇る根室のサンマを使って、うな重の代わりに『さんま蒲焼重』を発売したのは、北海道では有名なコンビニエンスストア「セイコーマート」です。
ウナギの価格が高騰する中で、このさんま蒲焼重の売れ行きが年々伸びているということです。
道産食品を使ったメニューとして、ウナギの代わりにサンマはまだまだ需要が伸びるでしょう。
いや、ウナギの代わりではなく、さんま蒲焼重は独自のメニューとして受け入れられていると言えます。
そのような北海道の様子から、「札幌では土用の丑の日にウナギではなくてサンマを食べる」というようなウワサが広がったのでしょう。
さんまの蒲焼
土用の丑の日とは何?いつ?
そもそも「土用」って何?
土用というのは元々は中国の五行思想が起源となっています。
気学の思想の一つですが、「一白水星」「二黒土星」「三碧木星」「四緑木星」「五黄土星」「六白金星」「七赤金星」「八白土星」「九紫火星」という言葉をご存知の方もいらっしゃるかと思います。
ここにも五行の「火」「水」「木」「金」「土」が含まれています。
この世の中の万物は、この5つの元素から成り立っているという考え方ですね。
土用の「土」はこの五行の土のことなのです。
土用の時期は春、夏、秋、冬と年に4回あります。
「丑の日」とは?
丑の日の「丑」というのは、「ね、うし、とら、う、たつ、み、・・・」という十二支の2番目の「うし」のことです。
昔から十二支は「うさぎ年」や「さる年」のように歳を数えるだけでなくて、方角や月、日、時刻を数えるときにも使われてきました。
いまでもカレンダーによっては「子の日」「丑の日」などの表示があるカレンダーもありますので、参考にしてみてください。
うなぎを食べる土用はいつ?
最近はスーパーは売り上げを上げるために、年に4回の土用すべてでウナギを売り出すようなお店も増えてきていますが、元々は夏の土用です。
夏の土用というのは立秋の前18日間のことを指します。
今年2018年は7月20日~8月6日の18日間です。
この間の丑の日が「土用の丑の日」になります。
なんとなく土用の丑の日は「年に1度」という感覚があるかもしれませんが、今年2018年の場合は7月20日と8月1日の2回、土用の丑の日があります。
それぞれ「一の丑(いちのうし)」「二の丑」と呼びます。
酉の市の「一の酉(いちのとり)」「二の酉」と同じですね。
土用の丑の日にはうなぎ以外の食べ物でもいいの?
土用の丑の日はわかったんですけど、うなぎを食べるのはナゼ?
うなぎ以外の食べ物でもいいの?など、疑問がありますよね。
お伝えしていきますね。
土用の丑の日にうなぎを食べるのはなぜか
これは江戸時代後期に蘭学者の「平賀源内」さんが経営不振のうなぎ屋さんを助けるために「本日土用丑の日」という貼り紙するアイデアを授けたのです。
そして「夏バテを防ぐために土用の丑の日には栄養満点のウナギを食べましょう。」と宣伝しました。
そうしたら、そのうなぎ屋さんは商売繁盛。
するとほかのお店も真似をし始めて、それが徐々に日本中に広まって現在に至るということです。
ですから日本古来の行事的な風習とは関係がないので、「土用の丑の日にうなぎを食べなければならない」ということはありません。
ウナギの前は何を食べてたの?
平賀源内さんがウナギを広める以前から、土用の丑の日に食べているものがありました。
それは何かと言うと、「う」の付く食べ物です。
「丑の日」の「う」にちなんだということもありますし、昔から「う」のつく食べ物は病気にならないという迷信もありました。
その根底には、暑い時期の体力消耗を埋めるため、夏バテ防止のために滋養作用のあるものを食べるという発想があったのです。
「う」のつく食べ物とは?
うどん
消化吸収が良くて胃腸が弱っている時には最適な食べ物です。
夏の暑い時の食欲がないときでも食べやすいですよね。
そして肝心なのはうどんに添える「薬味」です。
ネギやシソ、ミョウガや生姜などの薬味には、胃の機能を整えるとともに食欲増進や疲労回復などの働きがあります。
うり
夏が旬のキュウリや冬瓜(とうがん)、スイカ、カボチャ、にがうり、などのうり類は体温を下げる働きがあります。
むくみや高血圧を防ぐ役割もあります。
梅干し
塩分補給の食材として古くから食べられてきた梅干は、クエン酸が含まれているので疲労回復にも大きな働きをします。
汗をかく夏の時期には塩分を補うために欠かせない食品として、重要な役割を果たしてきました。
食欲増進にも役立ちます。
そのほかにも、うるめ(いわし)や牛肉、馬肉、うに、うずらの卵、などうのつく食べ物が食べられてきました。
うのつく食べ物のほかに「黒いもの」
土用の丑の日には、うのつく食べ物の他にも「黒いもの」を食べる風習がありました。
なぜ黒なのか?というと、土が黒、牛が黒ということ。
それから、丑の方角は北北東にあたります。
古代中国の思想にある『四聖獣(四神獣)』の玄武(げんぶ)が北北東を守る神で、色が「黒」だからという説もあります。
じっさいに黒い食べ物には滋養強壮に良いとされるものが多くて、中国人には今でもその考え方を持った人が多くいます。
例えば、黒ごま、黒米、玄米、黒豆、黒砂糖、なす、ごぼう、鯉、鮒、うなぎ、しじみ、といったものです。
土用の丑の日に札幌ではさんま?うなぎ以外でもOK?のおわりに
昔の人の知恵は素晴らしく今でも世に伝えられています。
良いことは受け継ぎ、悪いことは正して、今を生きる私たちがつなげていかなくてはならないと
感じます。
暑い時期には滋養強壮のあるものを食べて夏バテ防止を防ぐ。
塩分やクエン酸をとることと、胃腸の働きを整えてあげることなどが大事ですね。
ここを訪れてくださいまして、誠にありがとうございます。
感謝を申し上げます。
ほかにもこんなお話をしているので、よろしければご覧になっていただけたら嬉しいです。
⇒ ❝ 冬至には「ん」のつく食べ物を食べるのが習慣?カボチャじゃなくて? ❞