サハラ砂漠といえば世界で一番大きな砂漠として知られていますよね。
その大きさはアフリカ大陸のおよそ3分の1、アメリカ合衆国の面積とほぼ同じくらいというから驚きです。
行ったことがないからイメージにすぎませんが、どこまでも果てしなく続く砂漠地帯で雨は降らない、植物なんて一本も生えてなくて、ラクダで旅をする・・・・みたいな。
そんなサハラ砂漠を緑地化させることに成功した人がいるとのこと。
いったい何を使ったらサハラ砂漠が緑地化できるのか?
驚きですがナント「ゴミ」なんです。
うーーーん、いまいちピンと来ません。
もう一つ、カギとなる存在があるようです。
「サハラ砂漠」「緑地化」「ゴミ」「○○」の関係とは?
サハラ砂漠にゴミをまいたのはダレ?
広大なサハラ砂漠にゴミをまいて緑地化させようとしたのは、ある日本人です。
場所はサハラ砂漠の一部、アフリカでも最も貧困が厳しいと言われるニジェールという所。
そのニジェールで15年ほどかけて現地調査をした結果、砂漠化した荒廃地の土地にゴミをまくと植物が生育するということがわかりました。
この調査をおこなったのは京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究科の准教授
である大山先生という方です。
2015年から始まったサハラ砂漠の緑化活動では、1年目には作物のトウジンビエが多く生育し、2年目にはマメ科の草本、3年目以降は徐々に樹木が生育しました。
そして5年目には渇水の影響もあって草本が生育しないかわりに樹木が大きく成長したということです。
サハラ砂漠を緑地化するためのカギは「ゴミ」と何?
緑地化を実現させる重要な存在
サハラ砂漠にゴミをまくだけでは緑地化にいたらなかった可能性は大です。
それを可能にしてくれた立役者は「シロアリ」です。
このシロアリなくしてサハラ砂漠の緑地化は語れないということですね。
砂漠でシロアリは生きていけるの?
ニジェールという国はほとんどが乾燥地帯になります。
大山先生が緑地化を実践している場所はこの乾燥地帯の中でも雨季があるステップ気候の地域です。雨季があることが植物の生育と、シロアリの生息を助けてくれるのですね。
シロアリのエサとなるものは?
ニジェールでは地上は人間が、地中はシロアリが支配すると言われています。
ところが荒れ果てた砂漠では植物が生息できず、エサをなくしたシロアリもさすがに生きていくことが出来ません。
ニジェールの国のゴミには脱穀作業のあとに出るトウジンビエの穂軸や落花生の殻、それから家畜の糞や食べ残しのワラなどの有機物が含まれていて、これらがシロアリのエサとなったのです。
ここでゴミが生きました。
シロアリがもつ重要な役割とは?
シロアリが生息できる条件が整いました。
ゴミをまいた砂漠地帯に雨が降ると、シロアリが群れとなってエサとなるゴミに集まります。
そして地上にはアリ塚を作って、地中には無数のトンネルを作ります。
もしそれが荒れ果てた地表だとしたら、雨が降ったとしても雨水は地中には浸透できません。
ところがシロアリが地中にトンネルを作ってくれたことによって、降った雨水がそのトンネルを通って地中に浸透してくれます。
その浸透した雨水によって植物が生育するために利用できる水分になるのです。
なぜゴミから植物が生育するのか
ニジェールのゴミには植物の生育に欠かすことが出来ない三大元素と言われるリン、カリウム、窒素が含まれています。
さらに亜鉛や鉄、カルシウム、銅、マグネシウムなどの有用成分も多く含まれています。
これらの栄養素と、シロアリのおかげで確保できた水分が種子を育ててくれます。
ゴミには都市の住人が利用した作物や植物の種子がたくさん含まれています。
カボチャやトウジンビエ、ひょうたん、ナツメヤシ、バオバブなどの食用植物や、かごを作るのに使うドゥームヤシ、薬用植物などもたくさん生えてきます。
生えてこないと何が生育するのかわからないところが、この緑化方法の面白みでもあります。
ゴミをまくことのもうひとつのメリット
砂漠にゴミをまくことによるメリットがもう一つあります。
砂漠に強い風が吹くと地表面の砂が飛ばされます。
飛ばされたあとは岩盤が露出されてさらに砂漠化を引き起こす結果となります。
そこに都市のゴミをまくことによって、飛ばされてくる砂を受け止めることができるというわけです。
これにより砂漠化を防いで緑化を進めることが出来ます。
サハラ砂漠の緑地化はゴミをまくだけでできる?なぜ?のおわりに
雨の降らない水のないサハラ砂漠に植物を生育させる。
緑化するための方法がゴミをまくこと。
そしてそれを実現させているのが日本人。
驚くことばかりですね。
しかもそれを可能にしてくれているのが、日本では毛嫌いされているシロアリということにさらにビックリしました。
本来なら利用できないゴミを利用して活かす。
私たちの暮らしも出来るだけそうなるようにしたいものです。