ご飯をいただく『お茶碗』とお味噌汁をいただく『お椀』、読み方は同じ『わん』なのに漢字が違うのはいったいなぜでしょうか?
っていうか、よく見なければ違う漢字だと気付かずに、スルーしてもおかしくないほど似た漢字ですよね。
それではさっそく、なぜお茶碗とお椀の漢字が違うのか見てまいりましょう。
『碗』と『椀』の漢字の違いはナニ?
アナタが普段、ご飯を食べる食器は「お茶碗」ですか?
それとも「お茶椀」ですか?
現代では多くの方が「お茶碗」かと思います。
つまり「木へん」の「椀」ではなくて、「石へん」の「碗」のほうですよね。
木へんの椀は木製の食器で、石へんの碗は石製の食器、陶磁器のことです。
食器の原材料によって漢字が違うということですね。
なぁーーんだ、そんなことか。
と思われるかもしれませんが、まだ疑問に思うこと、ありませんか?
ご飯を盛り付けるのになぜ「お茶碗」なの?
お茶を飲むためのお茶碗
お茶碗はその名の通り、もともとはお茶を飲むための食器です。
奈良時代から平安時代の頃に中国から磁器の器が伝わったと言われています。
お皿や鉢、花瓶などいろんな磁器の器が日本に入ってきましたが、多くの割合を占めるのが茶碗だったことから徐々に陶磁器全般を茶碗と呼ぶようになったのです。
お茶碗は総称
食事のときにご飯を盛り付ける食器を「お茶碗」と呼んでいる方が多いかと思いますが、ほかにもこんな呼び名が。
最近はあまり聞かれなくなってきましたが『飯碗(めしわん)』という言葉。
その名の通りご飯をいただく食器の総称で口が広くできていて、ご飯が盛りやすく、そして食べやすい形になっています。
それからこの言葉はまだお使いになっている方もいらっしゃるかと思いますが『ご飯茶碗』という呼び方もあります。
ほかにも温かいお茶を飲むための器を『湯呑茶碗』、抹茶を飲むための器を『抹茶茶碗』と呼び分けたりもします。
ですから飯碗も湯呑も茶碗の中の一つということです。
日本の歴史の中で総称して茶碗と呼ばれるようになったのですね。
お味噌汁はなぜ「お椀」で食べるの?
先ほどアナタが使っているのはお茶碗ですか、それともお茶椀ですかと申しましたが、ご飯を木製の食器、いわゆる「お椀」で食べている方もいらっしゃるかと思います。
またその逆で、お味噌汁を陶磁器の「お碗」で食べる方もいるでしょう。
もともと日本で使われていた食器は木製のモノでした。
ですから江戸時代くらいまではご飯やお粥なども「木椀(もくわん)」で食べていたと言われています。
それが徐々にご飯はお茶碗で、お味噌汁はお椀で食べるように変化したのですね。
木椀が温かい
日本人がお味噌汁を木椀で食べる大きな理由があります。
木製のお椀は断熱性にすぐれているので、アツアツのお味噌汁を入れても保温効果があって冷めにくいのです。
しかも熱が伝わりにくいことから、木椀は手で持っても熱さを感じにくく持ちやすいということ。
逆に石製の陶磁器の器だと熱くて持てないということがありますよね。
ということで、お味噌汁を温かく美味しくいただくには、お椀が適しているということなのです。
ですから、ご飯も温かく食べたいと思ったら、お椀を使ってみるのもイイかと思いますよ。
お茶碗とお椀の漢字はなぜ違う?同じ「わん」なのに「石へん」と「木へん」の違いはナニ?の【まとめ】
「お茶碗」と「お椀」の違い、漢字の「石へん」と「木へん」の違い以外にもいろいろな理由、意味があったのですね。
日本の歴史、文化は様々な変化を遂げながら現代に辿り着いていることが、食器を見つめ直すだけでも知ることができます。
いつも感心させられることですが、昔の人というのは「すごいなぁ」と。
ゼロからモノを生み出す。
それをさらに工夫して応用する。
その繰り返しが日本の農業、文化、歴史、もの作りを築いて来たのではないでしょうか。